こんにちは「でざいんこま」の小松です。
11月7日(土)修復科7期生の3年間の集大成である調査発表会が開催されました。今回はその様子や感想をお伝えします。
審査の講師陣を前に緊張感漂う中6組の発表があり、8期生の私達も講義の一環として聴講させて頂きました。入学式から今まで5回の講座は「卓上の学習」的な感じでしたが、今回の報告会で一気に実践へと現実味をおびて3年後の自分を想像して目が覚める思いがしました。
発表の中で「木原家住宅」「宝集寺大仏殿」「成巽閣に残る手縫い畳床の技法」の調査報告が特に印象に残りました。
「木原家住宅」は大正8年に建築された住宅で文化財登録を見据えた調査でした。外観は古民家に見られる「あずま建ち」ですが内部構造は洋小屋(トラス構造)組で作られいてました。大正時代としては珍しい新技術(トラス組)を取り入れつつも外観は付柱・付梁で「あずま建ち」風とした理由がなんなのか?疑問に思い、8期ではより深く調査できればと思いました。
あずま建ち(参考外観) トラス構造(内部の屋根構造)
「宝集寺大仏殿」も文化財登録を目標にした基礎資料調査。1818年建てられた八角円堂の仏堂です。加賀藩とつながりが深く、天徳院や尾山神社に似た彫刻が施されてます。現状は雨漏りにより梁や野地板が腐朽・脱落してることと、全体に北西方向に傾いてるとのことでした。金沢城の復元も大切ですが、現存する歴史的建物の保存に向けた修復がもっとも急がれると感じました。
「成巽閣の畳」重要文化財に限らず建物の壁や建具、天井、木組み、外観などは注意深く見るのですが・・タタミは今まで意識したことありませんでした。文化財保存修理の現場でも消耗品で作り変えるものととらえられていたようです。発表によると100年200年単位で使い続けることが可能で、江戸時代のタタミが成巽閣に現存しているとのこと。手縫いの間隔が細かいほど格式の高い部屋に使われていたり、当主だけの部屋は強度より柔らかさを考慮してあるなど推察されていました。実際に成巽閣を訪ねて200年前の畳の上を歩いて歴史の重さを体感したいと思いました。
他「銅瓦葺き屋根の塗装技法」「山田家洋館」「旧田上医院及び旧田上家コンクリート塀」も詳細に調査報告されていて、今学んでることが将来文化財登録や指定の基礎資料作りとして目標ができたいい発表会でした。
Komentar